シナノケンシ(上田市)は、来年度下期の量産開始を目途に、精密小型モータの生産拠点としてメキシコ中央部グアナファト州への進出を決定した。
グアナファトメキシコ中部の都市、イラプアトの工場では現地従業員約50人が働く。上田市の本社から異動した工場長によると、仲も深まり「作業の指導も順調だ」と手応えを語る。シナノケンシがメキシコに進出を決めたのは、得意先企業の多くで同国への工場新設が相次いでいたからだ。同社の主力は自動車向けのモーター。これまでこれらのほとんどを中国で生産してきたが、北米地域の顧客への輸送時間短縮や、拠点を分散することによるリスク回避効果を狙う。

同様にメキシコに進出する県内企業が増えている。自動車関係では、2001年に車向け空調機器製造のGAC(安曇野市)、08年にはパワーウインドー部品製造の城南製作所(上田市)、13年にはブレーキ製品製造の日信工業(同)が工場を新設。日本貿易振興機構(JETRO)長野貿易情報センターによると、15年3月時点でメキシコに拠点がある県内関連企業は10社で、堅調に増えている。その理由は、県内各社の得意先の自動車メーカーが輸出拠点としてメキシコに進出しているためだ。日系では近年、日産、ホンダ、マツダが現地で工場を稼働。トヨタ自動車も19年に新工場の稼働を目指している。メキシコが米国と自由貿易協定(FTA)を結んでおり、メキシコから米国に自動車を輸出する際に関税がかからず、コストを抑えられる利点がある。またメキシコの人件費が周辺諸国と比べて安いことも大きな要因である。「世界の工場」と呼ばれてきた中国は、メキシコよりもやや高い水準で今後も上昇が続く見通しで、相対的にメキシコ進出のメリットは高まりそうである。

一方で文化、習慣の違いから仕事に対する考え方が異なることから、従業員への研修が必要と考える企業も少なくない。現地の文化を尊重しながら、自社の企業風土を従業員にうまく伝える方法が進出成功の鍵を握るのかもしれない。

シナノケンシ

本社を上田市に構え、精密小型モータの製造・販売を手掛ける。海外を含め従業員数5,000人。

参考:信濃毎日新聞2015年6月28日発行版/経済9面
信濃毎日新聞の購読申込みはこちら 信濃毎日新聞購読のご案内