紙・出版・印刷業界 全国動向

時代の流れとともに伸び悩み、模索する出版業界

publishing国内最大手の製品生産量はカタログやポスター、POPなどの商業印刷向け、コピー用紙等情報用紙の需要が順調に推移したことから、平成20年まで5年連続で増加した。しかし、原材料費の高騰や平成20年1月に発覚した、製紙各社の再生紙偽装問題が響き、同年3月期の製紙大手は軒並み減益決算となった。さらに平成21年以降は環境への配慮から、各企業ではペーパーレス化の採用も加速し、紙の消費自体が落ち込んでいる。また中国をはじめアジア新興国からの需要も鈍化していることで、売上は伸び悩みが続いている。こうしたなか、大手企業は国外での工場展開や海外企業買収など、海外市場を模索する動きを加速させている。

大手数社が業界全体売り上げの8割を占有

出版業で従業者4人以上の事業所は全国で2,000社余りを数えるが、上位数社(ベネッセコーポレーション、KADOKAWA、講談社、小学館、集英社等)で業界全売上高の8割強を占めている。また、出版科学研究所のデータによると、出版物の推定販売金額は平成8年、9年のピーク時以降、書籍、月刊誌、週刊誌の全てが長期低落傾向。こうした旧来型の市場が伸び悩みを見せる中、スマホやタブレットPCの普及に伴った電子書籍市場の成長に期待がかかっている。
gadgetICT総研によれば、平成24年度の市場規模は729億円。平成25年度には1,000億円を突破する見通し。印刷・同関連企業は中小零細企業が多く企業間格差が大きい。業界大手である大日本印刷、凸版印刷の2強が市場の7割を占める。これらは印刷業というより情報産業の一角に位置付けられる。

紙・出版・印刷業界 長野県内動向

紙・印刷業界は中小零細企業が多く、企業間格差が大きい

printfac[1]平成24年工業統計調査によると長野県内のパルプ、紙、紙加工品製造業(従業者4人以上の事業所)は事業所数104(全体の1.9%)、従業者数2,212(同1.2%)、製造品出荷額等785億円(同1.6%)となっている。年次別の推移をみると事業所数、従業者数は近年緩やかな減少傾向、製造品出荷額については一進一退の推移を示している。尚パルプ専業は長野県に唯一、南信パルプがあったが平成16年に解散している。県内の印刷業(従業者4人以上)の事業所数は301(全体の5.2%)、従業者数5,030人(同2.7%)、製造品出荷額等727億円(同1.4%)となっている。年次別の推移では、事業所数は平成8年に一旦増加したが、以降減少傾向をたどり、平成13年より事業所数500を割った。従業者数は平成9年に1万人を割り、以後も減少傾向を示している。製造品出荷額等は平成8年、9年に増加したものの以降減少傾向に歯止めがかかっていない。

従業者規模別分布によると従業者30人未満の中小零細企業は165社を数え、全体の83.7%を占める。これに対し、30人~99人の事業所24社(全体の13.6%)、従業者数100人以上の事業所は5社(全体の3.1%)に過ぎない。

印刷業は地場産業

長野県の印刷業は地場産業の一つに挙げられ盛んであるが、その背景としては、

①教育県で文学を愛し書物に関心が強く、教育図書や郷土史、book 法規等の出版活動が盛ん
②戦時中、在京大手印刷工場の疎開地となり、
戦後、そのままそっくり残った事などによっている。

また、長野県の主要産業推移をみると、昭和3~7年の5ヵ年は印刷業が第3位にはいっていたこともある。更に昭和38年の統計調査によると、従業者数、事業所数及び製造品出荷額等で、東京、愛知、大阪、兵庫、福岡など先進都道府県次ぐ第7番目に位置していたこともある。(因みに製造品出荷額等でみると平成元年は全国12位、平成2年、平成3年は全国13位、平成4年は14位、平成5年は13位、平成6年~平成12年は12位)。

教育県と言われる由縁

出版・印刷業には老舗企業が多く、信濃毎日新聞、カシヨ、蔦友印刷などは100年以上の歴史を誇っている。特に日本の出版業界にあって、岩波書店、筑摩書房、理論社など長野県出身者の活躍が目立ち、「教育県」とともに、「出版王国」といわれる由縁であろう。

長野県紙・出版・印刷業 平成24年度売上高ランキング

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順位 社名 所在地 売上高 対前年度比伸長率
1 信濃毎日新聞(株) 長野市 19,511 102.1%
2 東京法令出版(株) 長野市 4,720 102.4%
3 大日本法令印刷(株) 長野市 3,098 102.3%

(単位 百万円)