建設業界 全国動向
ピラミッド構造の業界
日本の住宅・社会資本の整備を担う企業で、業者数は56万社、就業者数は全就業者の8.8%にあたる558万人を数える一大産業である。
大手から中小までさまざまな業界が存在し、元請業者のゼネコンから下請の専門業者までピラミッド型の「重層下請構造」となっている。
株式公開企業は約240社。バブル崩壊で最も大きなダメージを受けた業界の一つが建設業界。銀行から債務免除(債権放棄)などの支援を受けた準大手ゼネコン・建設・住宅会社は飛鳥建設、熊谷組、長谷工コーポレーション、三井建設(現三井住友建設)、フジタ、ハザマ、東洋建設、ミサワホーム、大京などがある。
平成17年度国土交通白書のサブタイトルは「安全・安心社会の確立に向けた国土交通行政の展開」で、安全・安心の確保は、すべての国民が求める最も重要な課題である。
耐震構造計算偽装事件を発端とした改正建築基準法施工(平成19年6月)の影響やリーマンショック(平成20年9月)後の景気後退、欧州経済危機等により民間設備投資が減退、500万人産業に多大な影響を与え、平成22年まで建設投資額は減少傾向にあった。しかしながら平成23年度に入り民間設備投資が増え、平成24年度末には公共事業投資の増大、2020年の東京五輪開催決定など建設業界にとって追い風が吹いている。
建設業界 長野県内動向
建設事業所数、年々減少傾向に
平成24年経済センサス調査によると、長野県内の建設事業所数は12,953事業所(全産業の11.9%)、従業者数は71,768人(同7.7%)で国内全体と同様一大産業である。
長野県における建設業許可業者数は、平成25年3月末現在7,993業者(全国では469,900業者)で、図1の通りここ10年間では、平成16年をピークに減少傾向にある。
長野オリンピック特需の約7割減なるも
若干の明るい兆し
平成24年度の県内建設投資額は6,124億円で、長野冬季五輪関連投資に沸いたピーク時(平成7年度の1兆9,979億円)から見て69.3%減と大幅な落ち込みとなっており、新設住宅着工戸数についてもピーク時(平成6年)から1/3以下に減少するなど、依然厳しい環境にある。(図1参照)
図1■暦年別長野県及び全国新設住宅着工戸数(県住宅部建築管理課)■
年 | 長野県 | 全国 | ||
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着工戸数 | 対前年 伸び率(%) |
着工戸数 | 対前年 伸び率(%) |
|
平成5年 | 23,515 | △9.6 | 1,485,684 | 5.9 |
平成10年 | 20,041 | △13.6 | 1,198,295 | △13.6 |
平成15年 | 16,490 | △2.5 | 1,160,083 | 0.8 |
平成20年 | 15,297 | △3.7 | 1,093,485 | 3.1 |
平成21年 | 10,984 | △28.2 | 788,410 | △27.9 |
平成22年 | 10,650 | △3.0 | 813,126 | 3.1 |
平成23年 | 10,378 | △2.6 | 834,117 | 2.6 |
平成24年 | 10,483 | 1.0 | 882,797 | 5.8 |
一方で、平成23年度の長野県の発注における工事予定価格が見直され、単価回復に若干の明るい兆しが見え、平成24年度末からはアベノミクスによる工事増加も見られた。
民間工事においても景気の後退による、民間設備投資意欲の減退で、一層競争は激しさを増し、受注単価の下落に繋がっていたが、平成25年になり公共工事、民間工事増加により、施工管理技士及び職人の不足が発生し、労務費は高騰、更に材料費も高騰しているため、建設単価は上昇に転じている。
建設業界 平成24年度売上高ランキング
平成24年度建設業売上ランキング30億円以上の企業数は42社で、そのうち増収企業は半数以上の29社であった。42社の売上合計は4,024億円となっている。
県内売上高ランキングにおける前年度から順位の変動は、5位に前年11位の綿半鋼機が入り、10位には前年12位の岡谷組がランクインした。
順位 | 社名 | 所在地 | 平成24年度 売上高 |
対前年度比 成長率 |
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1 | 北野建設(株) | 長野市 | 59,567 | 117.6% |
2 | (株)角藤 | 長野市 | 35,289 | 91.1% |
3 | (株)守谷商会 | 長野市 | 25,948 | 91.4% |
4 | (株)TOSYS | 長野市 | 22,163 | 102.4% |
5 | 綿半鋼機(株) | 飯田市 | 20,727 | 206.0% |
6 | セキスイハイム信越(株) | 松本市 | 16,088 | 103.5% |
7 | (株)ヤマウラ | 駒ケ根市 | 15,566 | 99.9% |
8 | 吉川建設(株) | 飯田市 | 13,014 | 89.4% |
9 | (株)NTT東日本-長野 | 長野市 | 11,287 | 92.3% |
10 | (株)岡谷組 | 岡谷市 | 10,860 | 116.4% |
11 | 神稲建設(株) | 飯田市 | 10,297 | 111.7% |
12 | 松田・南信(株) | 長野市 | 7,954 | 101.9% |
13 | 甲信アルプスホーム(株) | 松本市 | 7,738 | 118.0% |
14 | 富国物産(株) | 長野市 | 7,330 | 114.5% |
15 | ワールド開発工業(株) | 長野市 | 7,205 | 85.5% |
16 | トライアン(株) | 長野市 | 6,772 | 120.3% |
17 | 北信土建(株) | 長野市 | 6,722 | 86.9% |
18 | (株)岩野商会 | 長野市 | 6,320 | 101.5% |
19 | (株)竹花組 | 佐久市 | 6,220 | 110.1% |
20 | (株)パナホーム東海 | 長野市 | 6,031 | 102.5% |
(単位 百万円)