医療機器製造・販売の野村メディカルデバイス(長野県塩尻市)は自社ブランド製品の事業化に乗り出した。顕微鏡下の手術で縫合用に使う新構造の「持針器」を開発した。同社初の医療機器として販売するほか、内視鏡の訓練装置も製品化した。同社はこれまで受託開発を手掛けてきたが、商品企画力を高めた自社製品で収益向上をめざす。

開発した持針器はグリップを握り、指を動かすだけで操作できる新タイプの製品だ。微細な針を静かにつかんだり離したり、回転させたりもできる。医薬品医療機器法の製品として届け出している。従来のピンセット型の持針器では針を離す際に手が振れたり、手首を回転させる際に揺れたりしてしまい、顕微鏡下の精密な手術では医師に熟練の技が必要とされていた。

同社は信州大学医学部教授だった松尾清氏(現名誉教授)のアイデアをもとに、産官学連携で医療機器開発に取り組む「信州メディカル産業振興会」を通じて開発を進めてきた。がん治療後に脚などがむくむ「リンパ浮腫」の治療で、持針器は微細な静脈とリンパ管をつなぐ手術などでの使用を想定している。

持針器は近く、中日本メディカルリンク(同県松本市)を通じて販売する。まず信州大学や伊那中央病院(同県伊那市)に納入する予定で、年間で50個程度の販売を見込んでいる。

医師向けの訓練用シミュレーター機器の開発にも乗り出している。第1弾として、消化器用の内視鏡の操作法を訓練できる装置を開発し、販売を始めた。

信大医学部付属病院内視鏡センターの菅智明・副センター長が考案した装置を製品化した。初級者から上級者まで熟練度に応じた訓練に対応できる。同社は「医療従事者の技能を磨くシミュレーターのラインアップを増やそうと開発を進めている」といい、産学連携を強化する方針だ。

野村メディカルデバイスは2017年、精密機器メーカーの野村ユニソン(同県茅野市)が医療機器市場に本格参入するために設立した。開発受託事業に取り組んできたが、自社製品の販売強化で経営を軌道に乗せる考えだ。

参考:日本経済新聞2019.09.06

信州大学と県内企業のコラボレーション、いわゆる産学の取組が長野県は他県に比べると盛んです。さまざまな専門性を活かした教授や研究室と、高い技術力でそれを実現していく体力とノウハウを持った企業とが手を取り合い面白い取り組みが今後も増えていくことが期待されます。

また、野村メディカルデバイスを設立した野村ユニソンは岡谷諏訪茅野地域でも古参の優良中堅企業です。会社としての技術力もあり、技術者一人一人の能力も高い企業です。岡谷諏訪茅野地域はこうした中堅企業で独自の技術力を保有した企業が点在している面白い地域です。