食品業界 全国動向

少子化による需要減・BSE・鳥インフルエンザ・放射能汚染などの安全問題
食の安全に対する消費者の不安など業界の問題が山積

kouriten食料品製造は、製粉、製糖、製油などの素材型と、菓子、即席めん、農水産食料品などの加工型メーカーがある。味噌、醤油など伝統食品から飲料、酒類、菓子、調味料など業種は多岐にわたり、一部の業種を除いて中小企業が主体である。不況に強い産業、安定した産業といわれている。しかし、業界環境は近年急激に変化してきている。少子高齢化や長引くデフレで食品市場全体の規模が頭打ちとなり今後も大きな回復は望めない。

BSE(牛海綿状脳症)や鳥インフルエンザといった家畜の感染症や産地の偽装表示に加え、中国産野菜の残留農薬、異物混入など安全・安心に関わる問題が相次ぎ、さらには震災を機に放射能汚染など新たな問題が加わったことで、食の安全・安心や消費者の健康志向の高まりなど課題は山積みになっている。

原料のトレーサビリティ(生産履歴の追跡)の確立や特定保健用食品など付加価値の高い商品の開発で課題を商機に転換できるかが問われている。厳しい市場環境を受けて、大手の経営統合や買収が相次ぎ、業界再編が始まる一方で、中小企業にとっては生き残りの厳しい戦いが続いている。

食品業界 長野県内動向

長野県内の主要産業

長野県の「平成23年(2011)工業統計調査結果」によると、県内の食料品・飲料製造業(従業者4人以上の事業所)は事業所数873(製造業全体の15.0%)、従業員数22,981人(同12.3%)、製造品出荷額等5,990億円(同11.3%)となっており、いずれも県下製造業全体の約1割強を占める。

業界全体として縮小傾向

業界推移を見ると事業所数は昭和61年をピークに年々減少をたどり、平成14年に1,000を割り込んだ。その後も減少傾向に歯止めはかからなかったものの、平成23年は一転して23事業所の増となった。
従業員数は平成元年を底に増加傾向を示していたが、平成8年をピークに減少傾向にある。因みに平成23年は対前年1,489名の減。製造品出荷額等は平成14年から平成19年まで6年連続で減少。平成20、21年期と久々に増に転じたものの、平成22、23年はともに大幅なマイナスに転じ、景気の後退を明白に表した。

伝統的な品目が全国一を獲得

kanten-wagashi長野県の製造品が全国上位を占める品目と出荷額(平成22年)のデータによると、食品製造では、全国一が寒天(同74.1%)、その他の農産保存食料品(同10.2%)、味噌(粉味噌を含む)(同42.1%)、こうじ、種こうじ、麦芽(同19.3%)、全国第2位には野菜缶詰(同9.9%)、その他の缶詰(瓶詰・つぼ詰を含む)(同22.5%)、ジュース(同14.6%)、野菜漬物(同7.4%)、その他の精穀・製粉品(同10.0%)、全国第3位ではチーズ(同14.6%)、精米、精麦かす(同8.0%)、あめ菓子(同9.5%)、清酒かす(同7.3%)、などとなっている。

世界的なヘルシー志向が県内食品企業を後押し

eringi平成25年度の業種別売上高ランキングを見ると、農産物加工、畜産物加工のほか、長野県の特産であるきのこ、味噌、寒天、農・畜産加工品などのメーカーが上位に並ぶ。1位は、「きのこ製造」のホクト。食の健康志向のグローバル化に相乗し、東南アジア及び中国での市場開拓と米国における販路拡大など海外展開も積極的に進める。2位は全国的な知名度に加え、話題性のある商品投入により、5期連続増収と好調な推移を堅持した味噌醸造のマルコメ。続いて安定した売上を挙げる丸善食品工業、信州ハムが3、4位にランクイン。
shiromiso5位には、単なる食料原料のひとつという存在であった寒天をバイオテクノロジー、医薬品、介護食品、工業向け等分野を広げた業界のリーディングカンパニー、伊那食品工業。6位は味噌醸造のハナマルキ。7位はセブンイレブンの専属ベンダーとして惣菜などを製造するデイリーはやしや。8位は昨年からベストテン入りした養命酒製造。9位は味噌醸造のひかり味噌。10位は雪印系列で牛乳・乳製品を製造する八ヶ岳乳業。ベストテンに味噌醸造業者が入る結果となった。トップテンは若干の変動はあるものの、概ね固定メンバーが名を連ねている。伸び率のトップは、サンクゼールの118%であった。一方、長野県の観光と結びついたわさび製造、地ビール製造、信州の清冽な水を原料とした酒造業などにも高収益企業は数多く、信州の食品メーカーとしての知名度は全国的にも高い評価を得ている。

長野県食料品製造業 平成24年度売上高ランキング

順位 社名 所在地 売上高 対前年度比
伸長率
1 ホクト(株) 長野市 37,277 90.3%
2 マルコメ(株) 長野市 34,046 104.7%
3 丸善食品工業(株) 千曲市 29,202 100.1%
4 信州ハム(株) 上田市 20,708 89.8%
5 伊那食品工業(株) 伊那市 17,450 100.3%
6 ハナマルキ(株) 伊那市 16,032 104.5%
7 (株)デイリーはやしや 松本市 14,620 105.0%
8 養命酒製造(株) 駒ケ根市 12,053 104.0%
9 ひかり味噌(株) 下諏訪町 11,148 100.4%
10 八ヶ岳乳業(株) 茅野市 10,856 100.7%
11 (株)みすずコーポレーション 長野市 10,200 97.1%
12 長野興農(株) 長野市 9,839 102.6%
13 日穀製粉(株) 長野市 9,078 100.5%
14 (株)ヤツレン 南牧村 7,938 95.6%
15 大信畜産工業(株) 中野市 7,437 104.5%
16 アスザックフーズ(株) 須坂市 7,183 101.2%
17 豊上製菓(株) 上田市 6,367 113.7%
18 信州ミルクランド(株) 松本市 5,965 116.4%
19 (株)ポテトデリカ 安曇野市 5,160 114.1%
20 (株)スドージャム 松本市 5,122 96.2%

(単位 百万円)