□自己理解と企業・仕事理解はどんな時代も大切
「あなたの強みは何ですか？」
「どうして転職しようと思ったのですか？」
「これまでどんな仕事をされてきましたか？」
「仕事を通じて面白かった経験を教えてくれますか？」
面接でしばしば聞かれる質問ですが、きちんと応答できる人とうまくできない人の違いはどこにあると思いますか？
しゃべるのが上手、口下手ということではありません。シンプルに準備不足なだけなのです。言い換えれば準備をしておけばきちんと答えられるということです。ではどんな準備が必要なのか一緒に考えていきましょう。
□自己理解を自分のために
自分が何をしたいのか、また何は嫌なのか、譲れないのか、判断基準は自分にあります。この判断基準を相手に委ねると後から「違った」というミスマッチを作り出してしまう可能性が高まります。ということは自分を知る自己理解は他の誰でもなく自分のために必要なことになります。
・自己理解って何をするの？
では、自己理解というと具体的に何をすればよいのでしょうか？新卒の時は「長所・短所」などについて自己理解を深めたと思います。もちろん中途採用・キャリア採用でも「長所・短所」は重要です。では新卒との一番の違いはなんでしょうか？それは働いた・仕事をした経験です。皆さんが仕事を通じて得た経験と紐づけて、大きく３つのポイントで自己理解を深めることをお勧めします。
・スキル・知識・ノウハウはあなたの武器
皆さんが仕事を通じて、得たスキルや知識、それを実現していくためのノウハウは、あなたの次の職場でも必ず役に立つ武器になります。取得した資格はもちろんですが、スキルや知識をなるべく丁寧に分解してみましょう。人はひとたびできてしまうと、そのスキルや知識を過小評価し誰でもできる、難しいことではないと誤解しがちですが、一つずつ積み重ねてきたあなたの経験値ひとつひとつは相手にとって価値のあるほしいものかもしれません。伝えられるように準備しておけばそれを相手に伝えることができます。その技術の難しかった点、そのスキルや知識によって持たさられた結果など具体的なエピソードを添えて伝えることでより説得力があり魅力的なものとなるはずです。加えて、人材育成の観点等も知識やノウハウとして整理しておくとよいと思います。人不足の時代ですので、部下育成・後輩指導ができる人、属人化しない仕事が出来る人というのもあなたの大切な武器になります。武器としてのスキル・知識・ノウハウを棚卸をして自分はどんなことできる人材なのかという点で自己理解につなげましょう。
・仕事観・モットー・大切にしたいことはあなたの価値
スキル・知識・経験と同様に大切なことがあなたがこれまでの仕事を通じて得た仕事観です。仕事観というと大げさに聞こえる方は、モットーや大切にしたいことと置き換えてもよいと思います。多くの場合、仕事を通じて得た大切にしたいことは、成功体験や失敗体験の中にあります。「5分前行動を大切にする」「主体性をもって気づいたことは必ず伝える」「相手の立場にたってコミュニケーションをとる」etc…。仕事観とセットでそれを実現するために習慣化していることがあるかと思います。そこまで振り返っておくと自己理解としては◎です。仕事観は「あなたはこういう人」を伝えることにつながり、それは一緒に働きたいかどうかを決定づけるものにつながります。転職後はあなたの価値をわかってくれる人と働いた方がきっと楽しいですよね。だからこそ仕事観を言語化しておくことが大切なのです。
・環境理解という自己理解
転職においてもう一つ大切なのが環境理解です。自分が今置かれている生活環境と働くは切り離せません。例えば子育て期であれば子どもや夫婦の時間の使い方を一緒に考えることで人生の質を向上させることができます。仕事を通じてやりたいことはあるけれど、環境的にかなわない、あらかじめわかっていればエージェントにも事情をきちんと伝えられてよりテンポよく転職が進められるということがあるかと思います。ひとりひとり転職の理由も、転職下で置かれている状況も異なります。環境理解が進んでいれば、相手にも正しいリクエストができ、求職者側の勝手な主張とではなく、当然の事情として双方合意のもと良い結果につながる進め方になっていくことができます。今回の転職で押さえておかなければいけないあなたの環境はどんな環境があるでしょうか？
□企業・仕事理解を忘れずに
自己理解が進んだら次は企業理解・仕事理解です。次の転職はどんな会社に入りたいのか？そこでどんな仕事がしたいのか？ではそれはなぜなのか？転職ツールが増え、さらに人口減少社会で人材不足になっている昨今、求人倍率は上がってきています。ただし企業も誰でもよいわけではありません。自分たちのことをきちんと調べてくれている人、興味を持ってくれる人が好感度が高いのは間違いありません。企業・仕事理解を忘れずに。
・手薄になりがち企業・仕事理解
近年、転職サービスが増えていることもあり、皆さんにとってエントリーがしやすくなってきています。これはとても良いことで、これまで出会えなかった企業やお仕事に出会える可能性が高まります。そのうえで、出会った会社がどんな会社か、その会社でどんな仕事があるのかを事前にきちんと理解を深めていくことで内定までの確率がグッと上がります！
・手に入る情報を丁寧に
企業理解・仕事理解を進める際に、自分だけしか知らない情報を集める必要はありません。公開されている情報を丁寧に調べましょう。会社のホームページや業界紙・業界のページ、行政などと連携している取り組み、エンジニアであれば特許などの観点から調べるという方法もあります。手に入る情報からだけでも企業理解や仕事理解を十分に深めることができます。むしろ公開されている情報を抑えているからこそ、企業さんと同じ目線、土壌に立って話をすることができます。同じ言葉を使えば親近感がわきます。きちんと調べ、自分なりに噛み砕いている人は自分のキャリアとの重ね合わせもうまく自身のことを相手に伝わりやすい方法で表現することができます。
・企業は今何を大切にしているか
その企業がその仕事で大切にしているものは何かを調べましょう。ちょっと前は？今は？そしてこの先は？経営理念こそ滅多なことでは変わりませんが、それらを支える中期・長期の計画は社会の変化によって必ず変わります。企業から見て自分たちが大切にしているものを大切にしようとしてくれていればその人に好感を持ちます。逆に独りよがりで自分のことばかりではマイナスの結果につながりやすくなります。大切にしているものがわかればこれまでの自分の経験や知識、スキルからそれをかなえることに一役買えるとアピールができるはずです。企業との関係も人間関係同様、大切にしたいものを大切にすることで仲間意識が芽生え選考も気持ちよく進めていくことができます。
・仕事についての深堀を
行きたい企業、やりたい仕事が見えてくるとついつい、その求人の条件にばかり目が行きがちです。自己分析を進めると環境面でおさえなければいけないこともでてきますから、自分にとって良い条件の企業であるか、仕事であるかが大切でない人のほうが少ないと言えるでしょう。だからこそ、その企業に入るために、その仕事に就くために、仕事内容に目を向けてみましょう。品質レベル、スピード感、技術レベル、業界知識、関連する法令や規格など、その企業でその仕事をするうえで必要なものが仮説かもしれませんが見えてくるはずです。この仮説が大切です。仕事を深堀しておけば、そこから自分には何ができるのか、何はチャレンジが必要なのかとより自分のことも深堀していくことなります。仕事についての深堀はかならずあなたにとってプラスの結果を用意してくれます。きちんと準備していきましょう。
